数センチ上の世界を覗き見ることはかんたん、めったに履かない革靴で今日、街を歩きました。
優越感がすきだ。
人と人とを比べるなんて馬鹿みたいなことなのかもしれない、あまり気持ちの良いものでもないのかもしれないな。
それでも、じぶん自身に勝っていくとき、確実に、じぶんのなかだけで輝きだす優越感がある。
「ぼくってかっこいいだろ?」とじぶん自身に見せつけているようなかんじ、もとのニュートラルな状態のじぶんを把握しているからこそ、「お前に比べてぼくは」ってはっきりした感触として実感できるよね。
浅はかではあるけれど、革靴を履くだけでもさっきまでスニーカーだったじぶんをひょいと越えていく感覚に釘付けになれる。(スニーカーが革靴よりも格下とかそんなんじゃないよ、あくまでも、ぼくのなかの思い入れです。)
取ってつけたみたいなただのパワーアップアイテムであることは間違いなくても、取ってつけるのにもちゃんと勇気が必要で、踏み出したその一歩分、さっきまでのじぶんよりも高い場所にいる、それって、誇ってもいいと思うんだ。
革靴を履いているじぶんに浸りながらぼくは、コンビニの前、ホットコーヒーを飲んでいました。
ビルの隙間からこぼれる陽射しが眩しいね。
ここは、いつもより、数センチ上の世界。
文と絵 山本こう太