こう太のコーヒーとか

14 贅沢な生き物

細胞が米を、肉を求めている。糖分を、カロリーを求めているんだ。
人間になる前、獣だったころの遺伝子が今でも僕たちの片隅に残っていて、生きたい!と力強く吠えている。
飢えて飢えて大変だった頃、カロリーは命の源だったんだろうな。こてこてのメシは最高に美味い、そう思えるのはきっとその時代の名残、お腹が空いて倒れそうなときほどやっぱり、カロリーを求めてしまうよ。

14 贅沢な生き物 今となっては、生き延びることは簡単。
人間は肥えている。カロリーに飢えなくていい、余裕を持て余している。
だからこそコーヒーを嗜む姿はかっこよく見えるんだ。
生きるか死ぬかの狭間で飢えに耐えていた獣だったころの面影は微塵もないよ、命をひとしきり繋ぎ止めておける人間に成り上がれたからこそ、純な水分でもスタミナ源のカロリーでもない、僕たちがコーヒーをいただく姿は余裕に満ちている、かっこいい。
かつての獣たちにそんな暇なんてありませんでしたから。肉だ!パワーだ!で必死でしたから。
命を養っていくための食事の輪からはみ出た場所に、コーヒータイムは存在しているんだね。

人間は、ほんとうに肥えていると思う。 お腹が満たされたところで次は、心の豊かさに飢えているんだろう、愛も幸福もコーヒータイムも、心をいっぱいに満たしてくれる。

文と絵 山本こう太

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