こう太のコーヒーとか

26 虚ろでいたいね

いろんな人が居て面白いなあと思うし、どんな人が居てもいいよねと思えるようになった。
それでも自分の体はひとつしかなくて、たくさんの思考を許容すればするほどに矛盾が次々に生まれてしまう、この体が小さすぎるあまり。
本当はすべての感情に頷いていたい。
ひとつを生かすことで、その他のすべてを切り捨ててしまうくらいなら、なににも偏らないままの虚ろな自分を、全力で可愛がってあげたかった。

他人に対していつもどこかで、ちいさなちいさな共感を抱いてしまっているんだろうな。
26 虚ろでいたいね 間違った感情なんてものは誰のなかにも存在しないと思っているからこそ、涙にも、怒りにも、ちゃんと向き合える。すべての感情に、言葉に、人間に、平等に向き合えるようになる。
僕が何者でもなく虚ろな存在であるという事実があるかぎり、この世に沸き起こる万物に対してやさしくあれるのかもしれない、やさしくなりたかった。

言葉はいつの間にか、書いた僕自身から剥がれて、離れて、誰かの記憶のなかで一人歩きしてくれるようになる。僕がどこでなにをしていても、言葉だけは形となって残り続ける。
だから書くことが好きだ。
言葉が生きるのに、僕という存在があるかないかは関係ない。
どこからかぽつりと落ちてきた言葉に誰かが救われるような、そんな世界だって、創り出せるかもしれない。

文と絵 山本こう太

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