こう太のコーヒーとか

62 ブラジルのコーヒー豆がおいしい。

つい飲みたくなるようなものはいつも、良い意味で癖がなく、まっすぐに簡単においしいと思えるような、そんな難易度が低い飲み物ばかりだった。
ブラジルのコーヒー豆がとにかくおいしい!

ぼくはたぶん、コーヒーのなかの酸味があんまり好きじゃない。
要するに、爽やかで明るい感じじゃないのです、コーヒーは。
ちゃんと苦くあってくれなくてはいけない。
コーヒー豆の説明書きにたまにある、レモンのような、とか、ワインのような、とか、それは香りや口当たりの良さのことを言い表してくれているのだろうけど、ぼくはちょっと、萎える。
レモンならレモンティーでいいや、ワインならワインでいいや、と。

ブラジルの豆は、あんまり特徴がない。
飲んでまずストレートに、「コーヒーおいしいな」とそんな感想を抱けてしまうことは素晴らしいこと。
62 ブラジルのコーヒー豆がおいしい。 ささやかな酸味、ほんのりと甘みもちゃんと感じられるのだけれど、出過ぎることもなくちゃんと、苦みが目の前にある。それでいて飲みやすい、苦いのに飲みやすい。
軽く飲めるし、飲みたくなる。
いろんな味覚に触れてきたなかで、それでもやっぱり最終的には、単純な舌でいたいのかもしれないな。
なので、今のぼくは、ブラジルの豆がいちばん好きです。

文と絵 山本こう太

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