こう太のコーヒーとか

51 わからない他人

他人のことなんてわからない。
じぶん以外の人間なんてみんな、ただの肌と服だよ、動くし喋りだすけれど、それ以上のなにも見えてこないし聞こえてこない。
人はそもそもわからないものだ。だれにも、なにもわからない。

わかられたくない、ともやっぱり思う。
他人に理解されるようなじぶんなんてこれっぽっちもいないし、誰かの手中に収まっていくことで切り捨てられていく自我は、あまりにも多い。
だから、理解しようしようと歩み寄ってくる他人が、凶暴で乱暴に思えてしかたないよ。
他人の目にうつるぼくだって、所詮、肌と服でしかないはずだ。
そこに、勝手な物語を描く行為は、もはや、他人への侮辱ですらありうるのでは。
わからないくらいに広くて深い。そんな尊い存在をたかが他人がわかろうとするなんて、傲慢にきまっているよ。

51 わからない他人 他人のことなんて、なにもわからない。
だからこそ必死になってその目を見ようとする、その声を聞こうとする。
目の前にいる他人と過ごすとき、頭のなかは空っぽでいい、余計な想像で相手を描いている暇なんてない。
わからない。だから好き。だからぼくは、他人が好きです。

文と絵 山本こう太

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