こう太のコーヒーとか

60 あげたくないし、くれなくていいし。

食べたいも遊びたいもしゃべりたいもしゃべりたくないも、もはや、ぼくが頭で考えてどうこうできるものではなくて、遠い空から突然ぼたぼたと落ちてくるような、そんなものでしょ。
それをこぼさないように受け止めて、ていねいに運ぶことで、じぶんという人間をまっとうできる。大切な大切な欲求だからね、こぼすの、もったいない。
そういうものにみんな必死でいたらいいのに、と思うのに。
してあげるだのしてもらうだの、むずかしすぎるよ。
コミュニケーションって、相手がほしがってそうなものをできるだけ忠実に予想して、確信もってどうぞと手渡すことだと思います。
見事に的中したら優しいですか、外れたらどうなんだろう、みっちりと予想してくれたその気持ちだけでも嬉しいんだろうか。
どっちにしても気持ちが悪い。
ぼくはぼくの欲求のまま、あげたいものをあげる、持ってすらいないものを望まれたところで困るし、そういう意味ではコミュニケーション能力とか皆無だし。
したいことをする、したくないことはしない。
その欲求のなかに誰かが組みこまれてるときもあったらそうでないときもある。
60 あげたくないし、くれなくていいし。 勝手な想像を受け渡すような不安定なやりとりよりも、じぶんの真上に落ちてきた確固たる欲求のままに、誰かと一緒に居たい。
居てあげない、居てくれなくていい。居たいから、居たい。
それ以上のなにが必要なの、って本気で思うから、やっぱりコミュニケーションむずかしい。

文と絵 山本こう太

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