こう太のコーヒーとか

6 秋の陽

もう夏が終わったような気がするから、季節のことを書こうと思います、「秋が秋が、」とか言ってるとき、まるでじぶんの感受性が豊かみたいに思えてくるよね。 特に秋はオレンジ色とか黄色とかが多くて、なんとなく哀愁が感じられるし、さびしいね、とか言いたくなる、あんなにきらびやかだった夏の陽射しがしぼんでしまって、勝手にぼくの心も、落ち着いてしまうんだろうか。

夏は、太陽が100%本気で光ってくるし、街も負けじと照り返して焼けてるし、あらゆるものの存在感が際立つような季節だよね。
6 秋の陽 人間にしたってそうだ、じぶんたちだけでもひっそりと涼しくいたいのに、じーっと垂れてくる汗が、動物としての存在をまっとうさせようとしてきます。どうしても夏のあいだ、ぼくたちの血も濃くなってるよ、歯向かっていないと生きていけないのだから。 いろんな物体の呼吸音があらあらしい、この季節に潜めるものなんてひとつもないんじゃないか、ってくらいにいろんなものが目立ってます、暑苦しいなあ。

そのせいで、夏の強さが消えかかったとたん、とんでもない喪失感に襲われるんだね、確実に世界は、たくさんのなにかを喪失している。
放たれて膨張していた光がもとの物体のなかに帰っていく姿は、いつもどこかさびしげだ。

そういう姿をこれから、たくさん見かけることになる、秋がはじまって、また、さびしくなるね。

文と絵 山本こう太

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