こう太のコーヒーとか

52 コーヒーとわたし

淹れたひとの人柄がにじみでる、なんて言われたりするから、やっぱりコーヒーは良いね。
じぶんってどんな人間なのだろうと考えるとき、ぼくの作ったものは、ぼくの存在以上に、あるいはぼくの言葉以上に、名刺になる。
煙たい苦味かもしれない、それがぼくかもしれない、という楽しさがある。

心みたいなものについて、実際どこにあるのか、そもそも本当に存在するのかすら、わからないから、あんまり興味がない。
だれかを知るうえで、そんな曖昧な心とやらの鼓動を感じようとしないし、でも他所で行われているであろうそういうやりとりから解放されるためにぼくは、コーヒーを淹れたり、ものを作ったりするんだろうな。
自己紹介は特にしようがない、そんなのはいいから、ぼくの淹れたコーヒーを飲みませんか、野暮だけれどそれくらいの光景をぼくは期待しているのです。

52 コーヒーとわたし 話して話して話しているうちに、言葉が足りなくて悲しくなるときがあるし、それでも伝えたくて、言葉以外のなにかを見つけた。
じぶんがいて相手がいて、伝えたいと思うから、やっぱりぼくは作る、作りたい。

文と絵 山本こう太

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